mirage of story
 




 
 
 
 
「ハハッ!そうこなくたゃな!
じゃあ.....行くぜ、隊長!」




見事に自分の挑発に乗った敵であり共である彼に、ジェイドは嬉しそうに笑った。

どうせならこの状況この戦いを、彼は楽しもうとしているようだった。









――――。
そう思うと同時、ジェイドの姿がその場から消える。




......。
ギイィンッ!

そして数秒後、闇夜に甲高い音が響き渡り二人の刃が交差する。






「さすが隊長、やるねぇ?」



不敵な笑みを浮かべると同時に攻撃を仕掛ける彼は、咄嗟に自分の動きに見事に付いて来た彼に向かい言葉を掛ける。







「相変わらずお前も速い。
腕だけは衰えていないようで安心した」



対するライルも薄らと笑みを浮かべ、まるで戦いを楽しむようにそう答える。
彼の意識もようやく完全に彼女からジェイドの戦いへと切り替わったらしい。



――――。
この二人は、この戦いを楽しんでいた。
この命を掛けた死闘を。

まるで友同士で剣の稽古をしているようにさえ見える程、この状況の中で彼等は生き生きしていた。








「まずはあいつからと思っていたが.........生憎お前の討伐命令も出ているんだ。
ジェイド、お前を倒してからでも悪くはない」




ッ!
ライルはジェイドの槍を押し返して剣を構え直す。

構え直した長い剣身。
それが月明かりを浴びて銀色の光を放つ。






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