mirage of story
 
 
 
 
 
 
ロアルは込み上げる笑いをどうにか抑えようとする。

ッ。だがどうやっても震える喉は治まらない。
もうどうしても可笑しくて堪らないのである。








「我が望み、それが叶う時この世界の全てが終わる。
..........いや、始まりかもしれぬがな」




一人、込み上げる笑いを抑えるために最後の一口の葡萄酒を口へと含んだ。

――――。
空になったグラスは透明な光を放ち無くなってしまった葡萄酒の紅を惜しむ。








「我が望みは、この世を無に還すこと。

その願いが叶うその時まで頑張って貰わねばならぬ。
愚かな駒達にも───そしてお前にも」




静寂で孤独な空間に、ロアルの誰に対してのものか分からない言葉が虚空を漂った。


口元を微かに上げる。
それはまるでこれから起こるはずの運命に自分の勝利を見ているように、更けゆく夜に男はただただ笑みを浮かべた。







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