mirage of story
「....い、いえ!何でもないんです!
ただちょっとジェイドさんの話に少しだけ心当たりのようなものがあって。
..........でも違ったみたいです、気にしないで下さい」
そう言い笑うシエラ。
ッ。
そんな彼女に何故かジェイドは一瞬だけ曇った顔を覗かせるがそれは一瞬のことだった。
すぐに元の表情に戻りシエラにつられたような笑いを見せる。
「───そうかい?
ハッハ!それならいい」
いつもように軽く笑いを浮かべる。
シエラはそんな笑みの裏にあるジェイドの想いを知る由もなく次の彼の言葉を待った。
「...じゃあ話を先に進めようか?
一年前くらいのその時だ。
ロアルのおっさんは俺達にその逃亡者を捕まえろって命令したんだが―――実はあの時、ロアルのおっさんの本当の目的別にあったらしいんだ」
「本当の目的ですか?」
「あぁ。
逃亡者の件も勿論目的ではあったと思うが、それとは別にあのおっさんが手に入れようとしてる何かがあの村にあってそれを捜し出すってのが本当の目的だったとか。
まぁ....噂だけどな。
詳しくは知らねぇが、あのおっさんどうやら裏で一人色々と隠れてやってたみたいだぜ?
あー、ヤダヤダ。
人には言えないような趣味でもあったのかねぇ、全く破廉恥な」
ジェイドはおどけたような仕草を見せる。
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