mirage of story
「嬢ちゃんよ?
今更だがまぁ一応言っておくぜ?
これから先、あの男と....ロアルと本当に戦うつもりなら気を付けた方がいい。
奴はきっと嬢ちゃんが思っている以上に醜悪で普通じゃねぇ。狂ってる」
真面目な声。
真剣な瞳でジェイドはシエラを見据える。
「....分かってます、ちゃんと。
ロアルが普通じゃないこともあの男と戦うってことがどんなに無謀なのかってことも。
───でも私、引き下がる気はありません。
どんなに危険でも、何があっても....突き進む覚悟は出来てます」
真剣なジェイドの視線に答えるように、彼の瞳を見返すシエラ。
何もない砂だらけのこの場所に強い想いを灯す瞳がまるで宝石のように煌めいた。
「───フフッ。
やっぱり嬢ちゃん、いい眼をしてるな。
俺の見込みは間違ってなかったみたいだね、ハッハ!」
シエラの心の内を確認し、ジェイドは納得したようにフッと笑いを溢す。
ッ。
大きな手の平で思いっきりシエラの頭を撫でた。
「っ!」
「おぉ、悪い悪い!
何か突然嬢ちゃんが小さい子供みたいに見えてなぁ、ついつい」
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