mirage of story
 
 
 
 




 
悪いと言っている割りには全然悪いとは思っていないような顔。
いきなり頭を撫でられ焦る彼女を少し面白がるように笑い、それからフッと軽く小突いてから手を離す。







「小さい子供って......」



「んん、やっぱり子供じゃなくて小動物か何かかな」



「って私は子供でも小動物でもないです!
こう見えてもちゃんと大人なんですからっ!」





ジェイドの発言にシエラはちょっとムッとして答える。
だがその反応が逆にシエラを子供っぽく見せた。






「いーや、嬢ちゃんはまだ十分子供だと思うぜ?
まだまだ純粋そうだしなぁ、嬢ちゃんには大人のあんな世界やこんな世界を知るにはまだ早いな!ハッハ!」



「あ、あんな世界やこんな世界って何なんですか!」




そんなシエラの頭をジェイドは再びポンポンッと叩く。
そんなに歳は離れていないはずなのに、こんな光景を前にすると本当に兄と小さな妹みたいに見えた。








「ははは!
何か嬢ちゃんと話してると、つい昨日会ったばっかに思えねぇな!」



「それはジェイドさんがそんな軽いノリだか......」




シエラは大きく笑いながら言うジェイドに、ついつい本音が出そうになる。
だが一瞬軽く睨まれた気がして途中で口をつぐんだ。






「ん?嬢ちゃん何か言ったかい?」



「.....なんでもないです」




「ハッハ!
....まぁ、ひとまず嬢ちゃんに本当に奴とやり合う覚悟があると分かって安心した」






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