mirage of story
 
 
 
 




実に微笑ましくそして平和な時間だ。

この今の世界ではこんな些細な平和な時さえもとても貴重でとても温かく感じることが出来る。
それはいいことでもあるが少し哀しかった。




ッ。
ジェイドはシエラの頭から手を退かして、グッと伸びをする。


そしてそのまま一つ気分を変えるように息をつくと、笑みを浮かべたままでも視線は合わさずにそう言った。








「.....さぁて、俺も一寝入りしますかね。
こいつ見てたら、俺まで眠くなっちまった」



ジェイドの大きな長い伸びが終わると、今度は大きな欠伸がジェイドの口から漏れる。

欠伸で涙目になりその目を服の裾で擦り、二人を余所に静かに寝息をたてるカイムに目をやり苦笑いを含んだ声で言った。








「そうですね。
私も少し休みます。まだこれから先は長いだろうから」



「あぁ、そうしといた方がいいぜ。嬢ちゃん。
ふぁあ.....眠い。
じゃあ嬢ちゃん俺は先に寝るぜ、おやすみー!」




........。
シエラがそんなジェイドの言葉に振り返ると何と早いこと。
自分の着ていたマントを畳んで枕代わりにして、もう寝息を立てていた。





「え、早い!」




シエラはその早業に一人突っ込みを入れる。

だが当の本人からは返事はなく、シエラの声だけが何もない砂の大地に谺した。









「私も寝よう」





 



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