mirage of story
〜3〜










(.....。
あぁあ、本当に嬢ちゃんまで寝ちまったか)




シエラが大きな欠伸をして隣で眠りについたのを薄目で見る。
どうやら自分が本当に寝てしまったと思った彼女は暫くして寝息を立て眠りに入る。


顔に掛かる長い髪が薄紅色の唇から紡がれる寝息に揺れる。
無防備な寝顔である。

だが勿論どうこうする気も無いので暫くして彼女から意識を外す。




ッ。
ジェイドは寝転がったまま目を大きく開けた。

さっきの眠そうな仕草は芝居だったのかばっちり目が開いている。


何気にジェイドはこういう芝居が上手かったりする。
なかなか油断ならない男である。








「よいしょっと!」



歳に似合わないそんな掛け声で横たえた身体を起こす。
だが思いの外に声が大きかったようで、隣に居たシエラが唸りながら寝返りを打ったので慌てて口を押さえる。







(せっかく寝たってのに、起こしちゃ悪いよな)



ッ。
ジェイドはそう思い、寝ているシエラたちを起こすまいとそっと立ち上がると少し離れた所にある小さな岩の上に腰を下ろした。








「はあぁ....あぁ───」




そこでもう一度欠伸をしながら伸びをしてジェイドは目の前に広がる景色に目を向けた。



.......。
広がるのは砂漠。
どこまでも広がる砂色。枯れた大地。

砂の粒は太陽の光を受けてきらきら煌めき、大地全体が金色に輝いていた。



遠くを見れば何も無くて、ただ砂の大地の金色と晴れ渡る空の青色の境目が何処までも続くだけ。
その光景は壮大であり、また虚無でもあった。





 

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