mirage of story
「ああぁ....あぁあ────」
頭の中がグルグルして、だんだん頭が痛くなってきた。
―――。
もう考えるのは止めにしよう。
そう気持ちを入れ替えようと腕の中に埋めていた顔を上げて大きく息を吸う。
ッ。
ほんの少しだけ砂っぽいような感じもしたが、何だかとても清々しい気分になった。
「......まぁ、どうでもいいか。
嬢ちゃんたちに興味があるのは確かだし。
あいつらを構うのも面白そうだしな」
そう自分を納得させるように言う。
そしてジェイドはちらりと横目で眠りに堕ちるシエラとカイムを見つめてそして再び視線を遥か遠くに見える大地と空の境目に移した。
........。
だいぶ陽が登って辺りが明るくなって、その明るさで境目が少し曖昧になっていた。
「.......いざとなったら、切り捨てればいい。
どうせ他人だ。
裏切りなんて────どうってことねぇさ」
ジェイドはフッと自らを嘲るように笑う。
自らを憐れむような、また蔑むようなその笑みを遠くに向けた。
「....俺も一寝入りしますかね。
嬢ちゃんたちもまだ起きそうもねぇしな」
タッ。
そう言って遠くに見つめていた空に背を向けると笑みを浮かべたまま岩の上から軽やかに飛び降りる。
音も立てずに着地したジェイドの表情は太陽の光に背を向けているせいか何処か哀しく切なげ。
その表情は暫らく空間に留まって、そして静かに消えていった。
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