mirage of story
〜4〜






「失礼します」



扉をノックする重いとも軽いともつかない音が響き
ライルの声が谺した。





「入れ」



中から短い返事が聞こえて、その返事を確認したライルはゆっくりと扉を開いた。






「遅くなって申し訳ありません、ロアル様」




扉の向こう側。
その部屋の奥の玉座に座る低い声の主....ロアルに深々と一礼をして、膝をつく。

蒼がかった黒色の髪が揺れる。






「.....いや、構わぬ」



部屋の奥の人影、つまりロアルは低い声で答えた。

そしてスッと立ち上がると、そのままこちらへ歩み寄る。
カツンッという靴の音が響く。






「顔を上げろ、ライル」



「はい....」



靴の音がライルの目の前で止まり、頭上から低い声が降り注ぐ。
その声に一瞬反射的に身体を震わせて、ライルは静かに顔を上げる。



顔を上げて、瞳を開けて
ライルの蒼い瞳に、漆黒の人影が映し出される。







「.....この度の出撃の失態、任務の失敗――――全て俺の責任です。
どんな処罰も、承ける所存でございます」



ライルはその瞳に映った漆黒に、上げた顔を再び下げて
静かな口調で重い口を開いた。






「.......そうだな。
指輪を持つ者を取り逃し、反逆者であるジェイドに敗北。兵の死者も出した。

これは、免職に値する失態だ」




「覚悟は....出来ています」







 
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