mirage of story
 
 
 
 
 
 
 
必ず....必ず、あのシエラという少女を捕らえなければ。
指輪を取り戻さなければ。




もう自分には失敗は許されない。

ライルは低く谺するロアルの言葉に、そう身を持って感じた。








「......そのご期待に、必ず添ってみせます。必ず」



ライルはロアルの前に跪き、強き決意と追い詰められた自分の責任に、改めて忠誠を誓った。












―――――ガッ....ドサッ。



静かな空間の中、改めて誓いを立てたライル。
そして王としての威厳を纏い、立つロアル。


そんな静けさを打ち破るかのように、閉ざされた重い扉の向こうから
唐突に、不自然な音が聞こえた。







「何だ....?」



ロアルは音のした扉を、漆黒の鋭い眼光で見つめる。

そしてライルも、後ろを振り返り扉を凝視する。





.....。



暫らく、扉の外の反応を待つライルとロアル。

だが、さっきの音が聞こえたきり何の反応もない。
扉の向こう、そして二人の間に沈黙の時が流れる。






「ロアル様、敵襲かもしれません。下がっていて下さい。
―――俺が見て来ます」




沈黙を続ける扉の向こうに、ライルは警戒し腰に掛けてある剣の柄に手を掛けた。


すぐに刃を抜き、相手の息の根を止められるくらいの腕をライルは持っている。

万が一の状況にも対応出来る準備をして、ライルは立ち上がり
扉の前へと向かう。








 
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