mirage of story






幾らか時が止まったと錯覚させるような、そんな沈黙が続いた。



終止符の見えない沈黙に、カイムが再び問い掛けようと口を開きかけた。

その時、今まで黙りを決め込んでいたマントの人影から低く感情の無い男の声が響き、カイムは出かけた言葉を抑えて耳を傾ける。










「........一つ確認をさせて頂きたいことがある」


「何です?」



男の声にカイムが答える。






「先日、ランディスという街が何者かに襲われた。
街は跡形もなく壊滅。街は消滅した。

だが、街の者は無事だった。
聞けば襲われる直前、街へ現れた二人の救世主が街の者達を導き襲撃から命を救ったらしい。

.......率直に聞こう。貴方がたが、その二人の"救世主"かを。
―――答えて頂きたい」




「.........救世主?」



男の口から零れたまだ記憶に新しいランディスという街の名。
そして、救世主という言葉。

カイムは思わず聞き返していた。







「そのランディスの街の者達を救った救世主は、深紅の瞳の少年と澄んだ青色の瞳の少女の二人の旅人。

まぁ、単なる噂話には過ぎないが......それを吹聴しているのは、救世主のお陰で生き延びたというランディスの街の長であった一人の老人。信憑性はある。
......もう一度だけ、問わせて頂こう。
貴方がたは、ランディスを救った救世主――――カイムとシエラで間違いはないな?」







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