mirage of story
「.........」
男のフードの下から見える紫色の瞳が、一瞬だけグラリと不服そうに歪んだ気がした。
だがそれはほとんど見ては捉えられないもので、且つ一瞬で消えた。
ッ。
そして黙ったまま、今まで動きを見せなかった男はゆっくりとした動きで顔を隠すフードへと手を掛けた。
手を掛けて少し躊躇うかと思ったが、男はそのまま何の躊躇いもなくそのフードを剥がし取る。
ヒラリ.....パサッ。
男の顔を隠していたものが取り払われ、男の表情が露になる。
フードの端から見えていた銀色の髪が、流れるのが見えた。
「.......我々は人間や魔族等という、下らない概念は持ち合わせていない。
我々はその概念を打ち砕き、この世界に蔓延る下らぬ理(ことわり)に介入し制裁を下す。
我が主人、ジスの元に同じ志を持ち集結した世界に存在する第三の勢力。
私はそれに準ずる者、名はロキという」
自らの存在を露にして口を開いた男の声。
男はそこまで言うと、そこで一旦言葉が途切れる。
「改めて貴方がたに聞く。
ランディスを救った二人の若き救世主。
この陳腐な世界の理(ことわり)を打ち砕き世界を救うため、我々と共についてきて頂きたい。
.........人間、魔族という下らぬものを越え結成された―――我等、反乱軍の元へ」