mirage of story
でもだからこそ、"人"はどうにかして自分達が生きてきたという軌跡を残そうとするのだろう。
どうにかして、この世界に"人"という歴史の傷痕を刻もうと。
藻掻き、立ち向かう。
傲慢だ。諦めが悪い。
そう思ってしまえばそれまでなのだが、その"人"の傲慢さや諦めの悪さが僅かではあるが形に残っているというのも、また事実である。
"人は実に、愚かだ。
人は、愚かなことをした"
現にこうして膨大な時を経て、人に伝わり続けるものがある。
事実であるのか。
虚偽であるのか。
それを知る術はないものの、この記録はその時代を知らない人にとっては、もう歴史の真実である。
"世界の支配し、秩序を守ってきたのは竜だった。
それを、その竜達が築いてきた秩序を、我々は壊してしまった。
己の、欲のために"
所詮は人によって書かれた物。
しかもこの書物に綴られたのは、書かれた時代のずっと後のことであり人から人へと繋がれた伝聞の果て。
現実味を出すための意図的な脚色は、幾らでも盛り込まれている。
必然的に、筆を取り文字を綴る人の情や想像も入る。
故に此処に綴られることを現実と捉えず、空想の作り話と捉える者も居る。
幾ら話を聞いても文面を見ても、実際にその時代を生きてその事実を見なければ信用は出来ない。
それが人間の性というものなので、無理もない。