mirage of story
"私は彼に炎竜の判断が下るのを待った。
そしてその末、下された判断。
彼は......私に次いで炎竜の指輪の、新たな契約者となった。
やはり彼には魔力が、それもルシアスにも引け劣らないような強大な魔力がその内に隠されているのだ。
時が満ちるまでは力を発揮出来ないという、そんな条件付きであったが、炎竜と契約を果たした。
もちろんこのことは誰にも公言しないよう、彼には言った。
魔力がある。
今まで魔力が無いと皆に馬鹿にされ続けてきた彼に、その事実を隠せというのは酷であった。
だが、平和には変えられない。
彼には、その炎竜の言う時が来るまでは我慢をしてもらわねばならなかった"
"指輪が受け継がれた。
これで、私の役目は終わった。
後は若い彼等に、これから起こる全ての命運を委ねるしかない。
彼等の運命、それがどんなものであろうと私にはもうこれ以上何の手出しも出来ん。
彼等自身で乗り越えて行く道しかないのだ。
.......竜達よ、どうか彼等を守ってくれ。
彼等は世界を平和に保つそのために欠かすことの出来ない鍵なのだ。希望なのだ。
君達も分かっておるはずだろう、竜達よ。
世界が今向かおうとしている先にあるのは、三度目の崩壊だ。
近い未来、必ず世界に崩壊の危機が訪れる。
それを救えるのは、君達の力と合わさった彼等の力だけだ。
私達、人は愚かな生き物だ。
だが人は愚かながらも、この世界で懸命に生きている。
竜達よ。そんな我々に今一度、どうか君達の加護を。
それが私のこの生涯最後にして最大の願いであることを、どうか受け入れてほしい"