mirage of story
「そだねぇ.....嬢ちゃん達、すっかりバテちまってるみてぇだしな」
そしてそのロキの言葉に同意して答えるのは、これまた疲れた様子のない前を行くもう一人のジェイド。
長旅に疲れ切って、進む速度に遅れをとっているシエラ達は前を行く彼等を見る。
彼等はこの長い旅路でどうして疲れないのか?
タフすぎる彼等に、そんな疑問が浮かばずにはいられない。
歳の差。
というのもあるのかもしれないが、彼等とシエラ達との体力の差が一番の違いなのだろう。
すっかり忘れかけていたが、以前ジェイドはあのライルの居る先鋭部隊の軍人だった。
今は部隊から抜けたとはいえ、それ相応の訓練を受けているのだ。
この今の状況くらい、どうってことないのかもしれない。
それにこのロキという男。
彼に関しては過去は知らないが、彼にも属する組織があるのだから相応の訓練を受けているはずだ。
「.......すみません」
それに対して、シエラとカイムはどうだ?
危険に溢れる外の世界で旅をしているのは極めて異例で立派であるが、それでもやはり二人はついこの前までは何も知らなかったただの少年少女なのだ。
そんな二人に慣れたジェイドやロキと同じ様についていくのを求める方がおかしい。
「まぁ急ぐこともないさ。
なぁ、ロキちゃん?」
「............お二人のペースで構わない。
私は貴方方を出来我が主の元にお連れできればそれでいい。なので無理はなさらぬよう」
ジェイドはいつものようにヘラッとした軽い口調で隣に居たロキの肩へと腕を回していただきます、いかにも仲良さげに言った。
そして対するロキはそれとは全くの正反対な冷たい視線を一瞬ジェイドに向けると、それから無視をしてシエラ達へと口を開いた。
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