mirage of story







今はちょうど正午を過ぎた辺り。
それが今日の内に着くということは、本当の本当にそれほど遠くではないようだ。

ロキの指差す先を見つめる三人の瞳に、希望の光が灯る。






漠然として見えない目的に向かって進むのと、確実で目にはっきりと見える目的に進むのとでは訳が違う。

クタクタだったシエラ達にはやる気が湧き上がり、極限まで溜まっていた疲れが一気に何処かへ飛んでいってしまった気がした。










「さぁ、早く行きましょう!」


「お、急に元気が出てきたな。嬢ちゃん?」



「.......何だか俺も元気が出てきました」


「おぉ!カイム、お前もか!」






三人は見えてきた旅の行く先に、希望を抱いて腰を下ろしたその場から立ち上がった。
ロキも感情を露わにはしないものの目的地が近付いている事実に幾らか安堵しているように見えた。




四人の視線が一点で重なる。
見据える先には、遠目でも綺麗に映える緑。

向かう先は捉えた。
あとはまた、この足で歩くだけだ。








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