mirage of story











「...........ロキちゃん、実はそうやって俺を苛めるの楽しんでない?」



「..........」





「はあぁ―――もういいぜ。

全く嬢ちゃん達にも、本当困ったもんだねぇ。
そうだな.....もう少しして帰ってこなけりゃ捜しに行くか」







まぁ、話が噛み合わなくとも最終的な意向は合致したらしい。

ジェイドはグッと背伸びをして眠そうな欠伸をして、ロキはそんなジェイドを視線の端に見てやる気なさそうに瞳を伏せる。















「静かな夜だな」




グッと身体を伸ばしたまま、ジェイドは頭上に広がる夜の空を見た。

夜の暗く濃いグラデーションのキャンバスの上に瞬く星達と月。
見ているだけで心が落ち着き、夜独特の静寂に身体も安らぐ。




あまりに静かな夜。
あまりに、穏やかな夜。

そのあまりの静けさに、どうしてだろう落ち着くはずの心がほんの少しざわついた。













「.........嵐の前の静けさって奴じゃなけりゃいいんだが」


「.........」









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