mirage of story
「冗談だよ。
さっ、早いとこ飯作っちまおうぜー。
なぁ、ロキちゃん........って」
少々苦い顔をするカイムに、ジェイドは大きく笑いながらそう言う。
そしてロキの方を向いてそう話を振る。
だが、今までロキが凭れていたはずの木にはもう彼の姿がない。
「........ロキさん、もう準備始めてます」
ロキを捜しキョロキョロするジェイドに、カイムが燃える焚き火の前を指差して言った。
「相変わらず、なんて行動の早い奴――――」
「そうですね.....」
取り残された二人は、顔を見合わせて苦笑いするしかなかった。
だがロキに任せきりというわけにもいかないだろう。
二人は苦笑いのまま、いつの間にか一人夕飯の準備に勤しむロキの元へと小走りで駆け寄り、それから空かせた腹を満たすために予定から随分と遅れてしまった夕飯の準備を開始した。
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