mirage of story
繋がる小さな手と手。
それを見る私の心にポッと灯火が灯る。
何だろう。
この温かさは。
込み上げる気持ち。
私の身体が、今まで生きてきた中で何よりもこの少年を求めている。
自分の中に欠けていたものが戻ってくるような.......あぁ、何だろうこの感じは。
懐かしい。
流れる記憶に感じる想い。
もっと知りたい、この懐かしさを。
もっと、全部........思い出したい。
パリンッ――――。
そう願う。
瞬間、鎖で押さえつけられていた何かがとうとうはちきれ、あれだけ頑なだった鎖が軽い音を立てて割れたのが分かった。
もう既に割れる寸前までその鎖は朽ちていたのだろうか。
あれだけ頭を締め付けていた鎖は、少年を見て願った瞬間にいともあっさり外れてしまった。
カランッ。
外れた鎖が落ちて、そして塵となり消えていく。
(あ.........)
私の中での何かが吹っ飛んだ。
鎖に縛られ、洩れるくらいしか表に出てこれなかった記憶が解放されたように一気に私の中に津波となって押し寄せる。
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