mirage of story














今の私は私であって私でない。
全てを知ってしまった私は、もう何も知らなかった私には戻れない。









..............もう、私は"シエラ"では居られない。

















(私.....どうしたら.....)



もう、どうしたらいいのか分からない。



今まで知っていた私と、忘れてしまっていた本当の私は違いすぎた。

光と闇。
私は置かれたのは、そんなあまりに対照的すぎる場所で。
でもどちらが自分にとって光で、自分にとって闇かも分からなくて。

















(―――――私はこれから、誰として生きていけば、いいんだろう......)


そんな疑問が沸いた。

私は身体を起こさないまま、天井の白い布を見上げ泣く。
涙が頬を伝い流れ、一滴口へと入りしょっぱい味がした。






ッ。
涙を私は自分に掛けられた布の端で拭い止めた。

そして寝転がったまま顔だけを、布越しに炎の見えるその先へと向ける。




ヒラヒラと布は炎の暖かい色味を纏い揺れ、その隙間に私は仲間の姿を見る。

三人の男。
彼等は燃える焚き火を囲むように、そこに座っていた。










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