mirage of story











その視線の先。
地平線のそのまた向こうには、魔族と人間二つの種族の地を分かつ広大な湖と天に聳える程の高い山々がある。




どちらもそれを乗り越えるのは至難の業。

それを乗り越えた先には、人間達が守る土地がある。
人間の力は年々魔族に圧され萎縮しているが、それでもまだ地に這い蹲って魔族への反発を止めない人間達が大勢居た。








そしてその人間達と戦争に批判的である一部の魔族達が密かに結合して、一つの地に集まり魔族との戦いに終止符を打とうと動き始めている。

ライルとキトラ。
その視線のずっと先にあるのは、そんな者達の――――新たに生まれた第三の勢力、反乱軍の本拠地だ。





















「後は―――敵が来るのを待つだけですね、隊長」


「........あぁ」




敵はロアルの命により人間達に宣戦布告した魔族の動きを察し、今まで様子を見ているだけだった反乱軍がついに動き出したという。

情報が正しければ、この荒野で魔族と反乱軍二つの大きな勢力が直接ぶつかり合う。
歴史上、何よりも大きな戦乱が始まる。









どちらも負けるわけにはいかない理由がある。

二つの対なる勢力。
だが願うものは同じ、平和という名の光。
形は違えど求めるものは同じという、皮肉。











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