mirage of story














広がる荒野に轟く轟音。

この地で二つの巨大な力が、激しくぶつかり合う。















ワアァァァッ!

二つの大きな群の影の距離が縮まり縮まり、そして重なる。
瞬間、命を懸けた叫びを上げながら二つの力が交わる。













それからは、静かなはずの荒野が修羅場繰り広げられる戦場と化した。





ギイィンッ。
カンッ。
甲高い金属音がして、辺りには誰の物とも分からない断末魔が響く。

鈍く肉を裂く音がして、荒れた大地が紅に潤う。



誰かが倒れる。
それは敵か味方か。そんなことすら考えられない。
お構いなしに兵達は互いの命と未来とプライドを懸けて武器を取り戦い続ける。

狙うは相手の命。
情けなどない。















魔族。人間。
元々は同じ種族であったはずなのに。血を分けたはずなのに。

どうして人は、争うのだろう。
争わずには生きていけないのだろう。







傷つけ合い殺し合い、そしていずれ......破滅する。

そんな哀れな運命を、どうして人は選んでしまうのか。
待っているのは、哀しいことしかないと皆何処かで分かっていながら。










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