mirage of story












「........何だか哀しい世界ですね」



「まぁ、仕方ねぇさ。
そんな世界を作っちまったのは、他でもない俺達人だからな。

自業自得か」



「...........」






別に重々しい口調でなく、さらりとした口調。

顔は笑っているが、言っていることは冷静で世界を静観する。
まるで全てを知っているような落ち着いたそんな口調には、何か説得力のようなものがあった。


















「..........まぁ、これから先に起こることなんていくら考えても分かりゃしねぇ。
こういう時は素直に味わっておかねぇとな?」


「........はい」





ハハッと笑ってそう言うと、ジェイドは手に持つカップの中で熱そうな湯気を上げる茶を平然とした顔で啜る。


あれだけ湯気が上がっているのに、熱くはないのだろうか。
そう思いカイムも茶を啜るが、案の定カップの中の茶は舌が痺れるくらい熱かった。









「熱くないんですか?」


「ん?いや、全然」



「.......そうですか」




そんな平然とした顔で言われては、こんなに熱がっている自分が何だか馬鹿馬鹿しい。
そう思えてカイムは頑張って、意を決してその熱い茶を啜る。










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