mirage of story
「.......なぁ、カイムー?」
「はい」
.........。
「何か、あったんだな」
言及するでもなく答えを求めるわけでもなく、ただ独り言を言うかのような雰囲気でジェイドは聞いた。
「......。
..........はい」
別にこのまま黙ってしまえば、ただの会話の一部として何もないまま自然と流れてしまうと思った。
でも、カイムは答えた。
少し躊躇いの間を置いてではあったが、答えた。
たとえこのまま黙って流してしまったとして、これ以上ジェイドが何も聞いてこなかったとして、それは無駄だとカイムは思ったのだ。
ジェイドの言葉には言及をするような意志はない。
だからこそというのだろうか、その言葉は自分の内にあるものを全て見透かした上での言葉に、カイムには聞こえた。
「.........そうか」
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