mirage of story
「シエラは恨むと思います。憎むと思います、俺のことを。
..........もう今までみたいには居られなくなります」
声が、切なくて痛い。
「俺の存在がシエラの哀しみの元凶にあって、俺がどれほど望んでもその事実は変えられません。
俺が傍に居ることが、共に戦い守りたいと思うことが、彼女にとって不幸になります」
「.................さぁて、本当にそうか?
俺にゃ到底、お前と居る時の嬢ちゃんが不幸そうには見えねぇがな」
「え?」
あまりに切なそうに言う。
彼の強い意志とは裏腹な、哀しすぎる言葉。
彼の直面してしまった現実。
それをただ聞くだけだったジェイドも、あまりに聞くに耐えなくなって独り言のようなカイムの呟きに言葉を返す。
それを予想していなかったのだろう。
カイムは驚いたような声を上げ、ようやくシエラから視線を外して振り返りジェイドの方を見た。
「むしろ幸せそうだ。
お前と居る時の嬢ちゃんは。
........嬢ちゃんだけじゃねぇ。
カイム、お前自身もだぜ?」
振り返り視線を送られるジェイドは、焚き火の炎を瞳に映したままに続けた。
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