mirage of story
「初々しい感じで、いちゃいちゃしやがって。
全くよぉ、嫌味にしか思えないね。俺としてみりゃ。
...........なぁー?ロキちゃんもそう思うだろー?」
「........そうやってこちらに話を振ってくるのは、やめろ」
空間の中、もはやその空間の一部と化していたロキ。
ロキには悪いがあまりの気配の無さに存在を忘れかけていたのだが、ジェイドのいきなりの振りに焦りも見せずに即答をした。
まぁ、こんな狭い空間の中に一緒に居るのだから当然だけれど、ジェイドとカイム二人の会話をちゃんと聞いていたらしい。
でなければ、こんな即答出来やしない。
「あら、ロキちゃんったら。
ちゃんと話聞いてたのね。
あ、実はずっと会話に入りたかった?
そうだったら早く言ってくれればいいのにー」
「..........」
今度は無視だった。
まぁ、いつものことだけれど。
だがこのやり取りが、いつもと違う重い雰囲気だった空間が和らげる。
ジェイドとロキ。
二人のやり取りにカイムは一瞬きょとんとして、それからホッと気の抜けたように笑いを零す。
カチャリと黙りジェイドに睨み付けるロキの手元で何処からか取り出した短剣が鳴ったけれど。
まぁ.....それ以外至極穏やかだ。
ギラリと光る短剣と鉄仮面のロキは非常に怖いけれども、きっとこの場でジェイドに斬りかかったりはしないだろう。
多分。
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