mirage of story
「おいおいおいおいっ!
話せば分かるー早まるんじゃないぞ、ロキちゃん!
ほらほら、冷静にー」
「ジェイドさん!?
お.....俺の後ろに隠れて言うのは止めてくださいっ!」
ジェイドは何の緊張感もないように笑いながら、ピタリとカイムの背に身を隠す仕草をして軽い口調でロキに叫ぶ。
物理上、明らかにジェイドの方がカイムよりも大きいので隠れきっていない。
でもくっつかれているカイムにとっては、どっちにしろ邪魔なことには変わりない。
まぁジェイドにとっては別にそんなことどうでもいいらしく、言葉とは裏腹にハハハとロキをからかうように笑う。
ギラリ。
そんなジェイドの叫びに、ロキの物騒な手元が光る。
光る刃にカイムは思わず背筋をびくつかせた。
「こ、怖いです。
ロキさんも早くそれ収めて下さいってば!」
「..........」
カチャリッ。
刃を収める音がした。
だが身を竦ませるような凄みはまだ消えていないまま。
手に握る鞘へと戻した短剣をスルリと何処かにしまう。
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