mirage of story
声や態度は相変わらずだった。
だが少しながらも、カイムやジェイドそしてシエラと出会ったことで彼の中でも何かが変わってきているのだろう。
もちろんロキだけではなく、他の三人も。
出会う前とは明らかに変わってきていた。
この同じ空間に居るこの四人の、その出会いによって。
「――――それに今、誰がなんと言おうとも君の中では己が何をしたいか.......何をすべきか、もう決意は決まっているだろう?
君は何があろうと君の信じる道を進めばいい。
そして君はその道で出会す全てを受け入れ、また進む。
そうすればきっと、この先に何があっても彼女はそれを受け入れるはずだ」
「そうだぞー。
人それぞれ進む道は違うし、お前の道はお前にしか進めねぇんだ。
だったら、お前の好きなように進みゃいいだろ。
まぁその代わり、その進んだ道で何があっても誰も責めることは出来ねぇけどな?」
ロキが淡々と言った。
ジェイドが笑って言った。
言葉は違う。
けれどそのどちらも温かくて、カイムは何も言わずに頷く。
返事の代わりに、周りの木々達が夜の風に吹かれ優しくざわめいた。
「.........さぁて、と!
ロキちゃん、明日の朝は早くに此処を発つんだろう?
すっかり夜になっちまったことだし、そろそろ休むか」
頷くカイムにフッと笑い、ジェイドはわざとらしく大きく欠伸をした。
そしてグッと伸びをしたかと思うと勢いよく立ち上がり、ふいっとカイムとロキに背を向ける。
ジェイドの向いた先には、シエラの居るテントがあった。
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