mirage of story











愚かな人共。
腐りきった世界。
聞いていて、耳が痛くなった。



あぁ。
この闇は人を、そして今のこの世界を憎んでいるのだ。

声からそれがヒシヒシと伝わって、憎まれる対象に居るその人は思わず身を竦ませた。









全てを正す。
世界を在るべき姿に、戻す。
その言葉を聞き考えるのは、そのために復活した闇の目的。

全てを正すため世界を在るべき姿に戻すために、この深すぎる闇は一体何をしようとしているのか。







聞きたくはなかった。
だが、聞かなければいけない。

そこから意識を背けて見ないで進んでしまったら、本当に終わりな気がした。
聞くのが、最低限度の自分に科せられた責任だと思った。



........。
だからその人は一つ大きく息飲み込み、それから意を決してそのことを闇に尋ねる。

復活して貴方は一体何を望むのか、と。















すると闇は笑いながらこう答えたのだ。















"何を望むかだと?

我が望むはただ一つ。
まっさらな世界への再生。
そしてそのための、この腐りきった世界の終焉ぞ!"






当然だろうと言ったような、笑う闇の声。
心の底から、聞かなければよかったと思った。



この世界は終わる。
この闇と.......そして私によって。

その人はその事実と世界の未来に、もう笑うしかなかった。










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