社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
三人には狭い2DKのマンションに身を寄せ合うようにして暮らしてきたけれど、梨香が社会人になったのだから順番的に私がこの家を出るべきだ。
六畳一間に布団を二組敷いて、私と妹は並んで寝る。となりの四畳半に母。三人分の衣類や小物を収納できるスペースはないから、部屋の隅にいくつも服の塔が出来上がっていた。
ジャージに身を包み、私は布団をかぶる。贅沢は敵。だけど、通勤時間のせいで自分の時間がないというのも悲しかった。
履歴書を書こうとしたとき、趣味の欄になにひとつ書くことがないほど必死に生きすぎていた。
寝返りをうちながら、会社の廊下で社長に絡みついていたLANAの担当を思い出した。頭のてっぺんからつま先まできらきらしていた小柳さんは、どれくらい自分にお金をかけているのだろう。
あんなふうに余裕のある女性になれたら、社長の私を見る目も少しは変わるだろうか。