社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「なに、あのメガネの女」
「マネージャーか付き人じゃない?」
ちらちらと視線をよこしながら過ぎ去っていく彼女たちに思わずうなずきそうになる。そうだよね、そう思うよね。
もし社長の隣を歩いているのが新庄さんだったら迷わず『恋人』と思われていたのだろうなと思いながら、彼女からもらったワンピースを見下ろした。
私のようなイモあるいはマネージャーもしくは付き人にしか見えない女に着られて、この服も可哀そう。
「前原ぁぁ!」
「ははははい! すみませんっ!」
いつのまにかずっと先に進んでいた社長が鬼の形相で振り返って、私はあわてて通りを駆け出した。