社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
長所を生かすメイク術と親しみやすいキャラクターで一時代を築いた彼女は、裏ではとても礼儀正しい人だった。
「イソラさんのファン層は、ちょうどLANAのターゲット層と合致します。LANAの商品を動画の生配信でレビューすることで、普段は店に足を運ばない層を取り込むことが狙いです。それと同時に……」
企画書のページをめくりながら、社長が言葉を続けていく。
飯田さんが出してくれたハーブティーに口をつけながら、私はノートパソコンに必死にメモを取った。
きらびやかな衣装に囲まれた室内で、絶世の笑みを湛えた見目麗しい社長と、時の人となるくらい若者に影響を与えたイソラと並んでテーブルに着いている状況は、最後まで違和感しか生まなかった。