社内溺甘コンプレックス ～俺様社長に拾われました～

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「新井さん。今日はありがとうございました。よろしくお願いいたします」

　打ち合わせを終え、スティリスのロゴが入った紙袋を提げてイソラが入口ドアをくぐる。社長と飯田さんとともに通りまで出て、私は彼女を見送った。

　どこか人工的な色合いの髪を揺らし、イソラの背中がすぐそこの角を曲がっていく。身に着けているものは到底真似できないくらいセンスがいいものばかりだったけれど、正直なところ彼女自身の容貌は女性の平均といった感じだ。

　太っているわけじゃないけれど痩せているわけでもないし、顔のつくり自体も特別整っているわけではない。言い方は悪いかもしれないけれど、その辺を歩いている女の人とそんなに変わらない。

　それでもイソラは輝いて見えた。

　落ち着きというのか、自信というか、とにかく彼女を取り巻くオーラは華やかで人を引き付ける。だからこそ彼女は人気があるのだと思った。