社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
♡一瞬の曖昧なキス
***
靴音を反響させるピカピカのエントランスロビーから出ると、まだ空は夜に覆われていなかった。雨は上がったようだけど、空気がむっとしている。
濡れた地面から腕時計に目をやれば十八時半だ。クライアントとの打ち合わせが長引いたせいでこんな時間になってしまった。
「社長、急がないと。展示会のアフターパーティー始まっちゃいますよ」
隣に顔を向けると、社長はさっきまで浮かべていたビジネススマイルを完全に消し去った顔でつぶやいた。
「お前……その格好で行くのか?」
「はい。なにか問題ありますかね?」
クリーニングに出してから一度も着ていなかったスーツを久しぶりに身にまとった私を、社長は黙って見下ろしている。そんな彼自身はいつも通り、白いインナーにジャケットを合わせたスマートカジュアルな装いだ。
靴音を反響させるピカピカのエントランスロビーから出ると、まだ空は夜に覆われていなかった。雨は上がったようだけど、空気がむっとしている。
濡れた地面から腕時計に目をやれば十八時半だ。クライアントとの打ち合わせが長引いたせいでこんな時間になってしまった。
「社長、急がないと。展示会のアフターパーティー始まっちゃいますよ」
隣に顔を向けると、社長はさっきまで浮かべていたビジネススマイルを完全に消し去った顔でつぶやいた。
「お前……その格好で行くのか?」
「はい。なにか問題ありますかね?」
クリーニングに出してから一度も着ていなかったスーツを久しぶりに身にまとった私を、社長は黙って見下ろしている。そんな彼自身はいつも通り、白いインナーにジャケットを合わせたスマートカジュアルな装いだ。