社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
ぽかんとしてる私に用紙を差し出し、流れるように言う。
「これに目を通して、問題がなければサインして。質問があったら内藤に聞いてくれ」
「あ、はい……ええと」
まだ状況が把握できていない私の背中をポンと叩いて、彼は美しい顔をにこりと崩す。
「よろしく、前原結愛さん」
名前を呼ばれ、瞬時に頬が燃え上がった。
もしかすると、彼は私が自己紹介をしてパイプ椅子に座ったときから、つまりは最初から、後ろに立って私の話を聞いていたのかもしれない。
急に恥ずかしくなって、触れられた肩を隠すように自分の手で覆った。