社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
去っていく後ろ姿はやっぱり周囲より大きく頭が飛び出ている。圧倒的な存在感を放つ後頭部が人ごみに紛れて消えるまで、つい見送ってしまった。
いったい何が起きているのかわからないまま正面の面談担当者に目を戻すと、同じく何が起きているのかわからないという顔をしていた内藤さんと視線がぶつかった。
彼女は私と目が合うと苦虫をかみつぶしたような顔になり、深いため息をついた。
「あの、私、採用していただけるのでしょうか……?」
半信半疑のまま尋ねると、内藤さんはもう一度、私に聞こえるようにため息をついた。
「……弊社代表の決定ですので。差し支えがなければ、このまま雇用条件について話を進めますので、お座りください」