社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「あの、サロンとか眼科とか行かせてくれたのに、結局戻っちゃって……すみません!」

 迫ってくる顔面を直視できずに顔を伏せると、両手でぐいと持ち上げられた。

「別に、謝ることじゃないだろ」

 いつもと違う色気を帯びたような瞳に、目が回りそうだった。

 どうしよう。

 これ、どうしよう?

 ただならぬ雰囲気で、目を泳がせることしかできない。こんなところで社長相手に恋愛経験値のなさが露呈されるなんて!

 というか、社長はいったいどういうつもりでこんな⁉

 嬉しいやら恥ずかしいやら、『いい雰囲気』というかつて経験したことのない状況に混乱したまま、とにかく口だけを動かした。

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