社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「で、でも! スティリス社員としての自覚を持てって!」
「あれは……忘れていい」
「だけど、社長は私を変身させたかったんですよね? それなのに、私」
まくし立てると、近づいていた社長の顔が静止した。目を上げた瞬間、社長の視線とまともにぶつかる。熱っぽく潤んでいた瞳の中にどことなく鋭さを感じて、胸が騒ぐ。
「……なんで、そんなことを?」
静かに問われて、つい目を逸らした。
それは社長自身がいないときに聞いた、社長の話だ。
『新井さんは冴えないヤツを変身させることに喜びを感じる変態だ』
弁護士王子様の言い方はきつかったけれど、あれは悪口でも陰口でもなかった。それでもどことなく気まずさを覚えて、声が小さくなる。