社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
そうか。社長が私に興味をもってくれたのは、外見がとことん地味だからだ。つまり、私以外にまた地味な子が現れたら、今度はそっちの子を変身させたくなるのだろう。
私に注がれていた視線がほかの子に移動する。
それは、なんかちょっと寂しいな……。
激しく高鳴ったり、鈍く痛んだり、今日の私の胸はひどく落ち着かない。
飲みかけの缶ビールを手に取る。口をつけるでもなく、気持ちをやり過ごすためだけに指の中でもてあそんでいると、社長がつぶやいた。
「確かに、自分の見た目が変わって自信をつけていくヤツらを見てるのは、楽しい。けど慈善活動じゃない」
再びソファに沈みながら、彼は少しだけふて腐れたように言った。
「……俺はな、昔、いじめられてたんだ」