社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「……はい?」
突然の告白に缶ビールを落としそうになる。慌てて持ち直していると、切れ長の目を細めて社長は少しだけ自虐っぽく口角を上げた。
「ひょろひょろなのに背ばっかり高くてな。上級生に目を付けられるわけだ。厄介なことに親が巨大企業の重役とかいうヤツがいて、馬鹿息子は好き放題なんだよ」
クッションにもたれて長い腕を組みながら、遠くを見るように続ける。
「おかげで逆らうこともできずに恐喝されるわ、パシられるわ、顔以外を殴る蹴るされるわで、中学時代は毎日地獄だったな」
「そ、壮絶ですね……」
きらびやかな容姿でてっきり男子からも女子からもモテモテだっただろうと思っていたのに、社長の少年時代は私が思っていたよりもずっと過酷だったようだ。