社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
社長は……私をちゃんと見てくれている。
地味だからとか、背の高さが目立つからとかじゃなくて、きちんと私の中身までわかってくれている。
クッションに沈んだ端正な顔を見やる。
眠りに落ちた俺様王国の王様は、すぐ怒るけれど、とても優しい。
社長は最初からそうだった。
飲み会でからかわれた私を気遣ってくれたり、名取さんの「女に見えない」発言を一蹴したり。
外側じゃなくて、内側だけを見てくれていた。
胸がぎゅうぎゅう軋んで痛い。
ベッドから毛布を運んできて、社長にかぶせた。子供のような顔で寝息を立てている私の上司。
無防備に呼吸をする唇に引き寄せられそうになって、慌てて顔を離した。
心臓の音を自覚しながら、私は鮮やかに色づいていく感情を押しやるように洗面所で顔を洗った。