社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
やっぱりさっきの男性はこの会社の社長で間違いないのだ。
手の中の名刺をまじまじと見つめる。コーポレートカラーらしいブルーグリーンの名刺は、彼が持つのにふさわしい洗練されたデザインだった。
あんな人が代表を務める会社で、正社員として働けるなんて。
私も、こんなに素敵な名刺を持てるようになるなんて。
夢みたいだ。
足元がふわふわして、まるで椅子ごと宙に体が浮いているような気がした。
ぼんやりしているうちに、内藤さんの説明を聞き損ねそうになり、私は慌てて勤務時間や給料や仕事内容についての詳細をメモに書き留めた。