社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「痴漢だって捕まりたくてやってるわけじゃないから、ちゃんと相手を選んでるんだよ。露出全開でいかにもって感じな気の強そうな女より、隠そうとしてる大人しそうな子の方が狙われやすいってこと」

 得意げに言う彼に、板倉さんが胡散臭そうな視線を送る。

「詳しいなあ。まさか名取、あんた……」

「あほか! 犯罪行為に手を染めるほど困ってねーよ!」

 じゃれあうふたりを呆然と見つめた。目立つ女性よりも地味な女の方が狙われやすいなんて、思ってもみなかった。

「そうなんですか……明日は大丈夫かな……」

「一度味をしめると、また狙ってくるだろうな」

「電車変えたり、車両変えたりしてみたら?」

 心配そうな板倉さんに私は少し考えてから頷いた。

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