社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
私はあわてて彼の口を覆った。
この営業マン、人のプライベートをあけすけに報告しすぎ!
おしゃべりで誰とでも親しくなれる才能は営業としては強みなのかもしれないけれど、見境がないにもほどがある。
名取さんは私の手を引きはがすと、朝の突然の報告にフリーズしている社長に向かって容赦なく言葉を浴びせた。
「前原ちゃんて狙われやすいタイプじゃないですか。地味だけど目立つし。だからこれからの季節は危ないよなーって思ったんすよね。社長もそう思いません?」
「名取さん、ちょっと、あの」
今そんな話をしなくても!
地味なのに痴漢に遭ったなんて、社長に知られるのはなんだか恥ずかしい。
もうやめてと思って営業マンの腕を引っ張ったけれど、彼は意にも介さずいきなり声を弾ませた。
「あ、そうだ!」