社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

 きょとんとする私たち三人を見回して、人懐っこい営業マンは満面の笑みを浮かべる。

「前原ちゃん、やっぱり俺んち住めばいいじゃん。兄貴も出てったことだし、部屋空いてるよ。俺もひとり用の部屋に引っ越さなきゃなーて考えてたけど、前原ちゃんが入ってくれるなら部屋探ししなくてすむし」

「えっ」

 驚いている私と反対に、板倉さんは「それいいかも」と頷いている。

「でも名取、前原ちゃんとルームシェアなんて、変な気を起こしたり……」

「しねーよ! だいたいな、俺は紳士なんだよ。無理やり迫るようなことなんてしないし、だいたい前原ちゃんは対象外だし」

「いえ、あの、私」

「ちょうどよかったー。兄貴が置いてったベッドとか本棚とか処分すんの面倒だったんだよな」

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