社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「なんで……?」
室内に戻り、ソファに沈む。
土曜日の午前九時半。いつもだったらまだ起きてこない社長の寝姿なんかを想像しながら、遅めの朝食をとっている時間だ。ささやかだけど幸福なひととき。
それなのに。
「どうすればよかったの……?」
ソファにだらしなく転がりながら、うめく。
断らずにそのまま進めばよかったの?
でもあまりにも突然で、心の準備はもちろん体の準備だってできていなかった。
社長に見られるなら、もっとちゃんと可愛い下着を身に着けたいし、肌のケアだって……。
そして私は気づく。
これまで自分を飾りたいなんて思ったことは一度もなかった。地味でありたいと願うことはあっても、可愛く見られたいなんて……。