社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
私をじっと見下ろした切れ長の目。優しく肌をなぞった大きな手。
甘い痛みが、病のように私を侵食していく。
涙までこみ上げそうで、私は自分の情緒不安定ぶりに笑ってしまった。
「洗濯、しよう」
実家では洗濯はいつも母親や妹に任せきりだった。前職のときは土日も出勤だったし、そもそも休みすらろくに取れず家事をする余裕なんてなかったのだ。
それに比べて今は完全週休二日だし、定時で仕事を上がれるうえに残業をすればその分手当が付くし、通勤時間は驚きの五分だ。
なんて恵まれた環境だろう。
それもこれも全部、彼のおかげだ。
洗濯機を回しながら、家中に掃除機をかけた。考え込まなくていいようにとにかく体を動かしたかった。