社内溺甘コンプレックス ～俺様社長に拾われました～

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『お昼まだ？　よかった。一緒に食べましょう』

　二日前の土曜日、突然現れた新庄さんはデパートの地下で買ってきたという大量のお惣菜を私に振る舞ってくれた。

　彼女は食器やコップの収納場所を完全に把握していた。

　もちろん一階の応接ルームは仕事の打ち合わせでも使うわけだから、彼女が食器のありかを知っていても不思議ではない。だけどキッチンペーパーとか包丁とか、仕事では使わない調理器具まで迷わず取り出していて、この部屋のすべてが頭に入っているように思えた。

　まるで、住んでいたことがあるみたいに。

『で、どうして結愛ちゃんがここにいるのかしら？』

　優雅な箸使いでひじきの炒め煮を口に運ぶ新庄さんは、食事姿まで絵になった。都会の洗練されたマンションがとても似合う。背丈や体型が似ていても、田舎者の私とは根本的なものが全然違った。