社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~

「……なにしてるんだよ」

「バルコニーにいたら蒸し焼きになっちゃうわ。ていうか優志くん? 女の子には言葉を尽くさなきゃダメよ。今思ってることを口にしないで、いつ口にするのよ」

 ぱたぱたと手で顔を仰ぎながら室内に入ってくる彼女を、彼は無言のまま目で追った。それから、ふうと深いため息を吐く。

「……そうだな」

「そうそう、人間素直になることが大事なのよ」

「わかった。いますぐ帰れ」

「……えっ⁉」

 低い声でつぶやいた社長を、新庄さんが驚いたように振り返る。切れ長の目を見開いて私を見てから彼に視線を戻した。

「ちょっと、私は結愛ちゃんに会いにきたのに」

「帰れ」

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