社内溺甘コンプレックス ~俺様社長に拾われました~
「は、あ」
形のいい唇からこぼれる吐息までが艶めかしい。
ぼんやりした頭でそう思っていると、鋭い目つきで見下ろされた。
「お前の中で、俺は本命の身代わりに、誰にでもこういうことをする男なのか?」
「え……」
真剣な表情なのに少しだけつらそうに見えるのは、凛々しい眉が額にしわを刻んでいるからだろうか。
「お前が、言ったんだろ」
うめくようにつぶやいて、彼は顔を近づけてきた。額がぶつかる距離で、彼は口にする。
『弊社の新井は誰かを代わりにするような人間ではありません』
それは、いつか私が言い放ったセリフだった。社長に告白をし断られてもなかなか引き下がらなかった小柳さんに、ぶつけた言葉。